News Letter 2024年7月号
こんにちは。税理士の駒井です。
今日は新型コロナウイルス感染症により深刻な影響を受けている経済環境下にあって、関係機関の支援を受けて事業の発展・継続を図る中小企業者に対し、財務体質強化を図るための資本性資金を供給する制度『資本性劣後ローン』について解説致します。
資本性劣後ローンとは?
会計上借入金ではあるものの、金融機関の企業評価上『返済不要な自己資本』と同等とみなすことができるため資本性とよばれます。
また万が一倒産した場合にこのローンの回収がほかの支払いよりも劣後する(劣って遅れをとる)、債務のうち優先度が最も低い支払い(償還順位が同等以下とされているものは除く)として扱われるため、資本性劣後ローンという名称になります。
資本性劣後ローンの特徴
- 自己資本とみなされる
- 無担保・無保証人で借入れできる
- 融資限度額が大きい
- 業績悪化で金利が安くなる
- 長期間の返済の無い借入が可能
- 小規模事業者でも利用可能
といった特徴があります。
制度の概要
1.対象者
新型コロナウイルス感染症の影響を受けた方 ※ただし、次のいずれかに当てはまる方に限る
①J-Startupプログラムに選定された方、または独立行政法人中小企業基盤整備機構が出資する投資事業有限責任組合から出資を受けて事業の成長を図る方
②中小企業活性化協議会の関与のもとで事業の再生を行う方、または独立行政法人中小企業基盤整備機構が出資する投資事業有限責任組合の関与のもとで事業の再生を行う方
③上記1および2に該当しない方であって、事業計画書を策定し、民間金融機関等による支援を受けられる等の支援体制が構築されている方
2.資金の用途
事業を行うために必要な設備資金および長期運転資金。
※長期運転資金には、建物等の更新に伴い一時的に施設等を賃借するために必要な資金を含む
3.融資限度額
直接貸付 15億円まで。
4.返済期間
5年1ヵ月、7年、10年、15年、20年のいずれか(期限一括償還)
5.利率(年)
融資後3年間は0.50%
※融資後3年経過後は、毎年直近決算の業績に応じて別途規定の利率を適用
6.担保・保証人
無担保・無保証人
7.その他
•本制度による債務については、金融検査上、自己資本とみなすことができる
•本制度による債務については、法的倒産手続きの開始決定が裁判所によってなされた場合、全ての債務(償還順位が同等以下とされているものを除く)に劣後する
•公庫が適切と認める事業計画書を提出する必要がある
•融資後5年間は、原則として期限前返済はできない
メリット
自己資本比率の改善
資本性ローンは金融機関は「資本性ローン」の借入残高を自己資本として見てくれます。
返済の柔軟性
劣後ローンは通常の債務に対して返済順位が低いため、企業が他の債務の返済を優先させ
ることができます。これにより、資金繰りに余裕が生まれます。
低金利
資本性劣後ローンの場合、利率は業績にあわせて毎年調整され、赤字など業績が厳しいときには下がる仕組みに なっています。
無担保・無保証人で
担保や保証人などは将来借入額が返済できなくなったとき、代わりに返済をしてくれる保険と して使われますが、資本性劣後ローンには担保も保証人も いりません。
早期経営改善計画策定支援事業を利用した
計画策定支援をぜひ活用しましょう!
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早期経営改善計画策定支援事業(ポスコロ事業)を通じて策定した事業計画を、コロナ資本性劣後ローンの申込時に必要な事業計画として活用ができます!
申込時の計画に必要となる主な項目
•必要資金と調達先 (業績や資金計画・資金繰表等と合わせて整理
※ポスコロ事業では金融支援を必須としていない点は相違
•事業見通しに係る課題、改善に向けた行動計画 「ビジネスモデル俯瞰図」、「アクションプラン」等と合わせて整理
⇒コロナ資本性劣後ローンでは、新型コロナウイルス感染症の影 響を受けていることが必須で、コロナの影響を踏まえた今後の 事業見通しの記載も必要
•当初3年間および最終目標年度の収支計画(前期実績及び 今期見込を含む)、借入調達計画
※ポスコロ事業で必須としている計画期間は当初1年間のみ
資本性劣後ローンの申込方法(中小企業)
日本政策金融公庫各支店の中小企業事業の窓口に直接相談ください。
上記窓口へ必要書類を提出しましょう。
- 事業計画書
- 会社案内、製品カタログなどの参考資料
- 法人の登記事項証明書
- 最新3期分の決算書・税務申告書
- 納税証明書
- 最近の試算表(決算月から時間が経っているかた)
- 設備投資を行うときは、概要のわかる資料(見積書等)
- 担保の内容がわかる資料(登記事項証明書など)
駒井大介税理士事務所が申請サポート!
申込時に必要な事業計画を、当事務所で策定支援いたします!
小規模事業者の皆様も含め、コロナ資本性劣後ローンの活用をぜひ検討しましょう!